Dearest 2nd 〜Moon〜
────その後…。





俺は隼人に参加用紙を手渡し、その途中でいつも音楽を奏でていた部屋に訪れていた。





「────懐かし…」





ほんの数ヶ月離れただけなのに、ここにいたのがもうずっと昔の様な気がする。



ほんと、毎日ここに通い詰めていたっけ。


逆に来ない日はなかったんじゃないかな。



ここに来るのが生き甲斐で、何よりの楽しみだった。








────────…







“コラ壱!!
お前こんな簡単なAメロさえ弾かへんのか!”



“だぁってぇ〜!!”



“……ホンットあんたこれ練習したの?”




“何だよマリア!うっさいよ!”


“壱、マリアもうやめろって”



“こんなん出来ひんかったら紅追放やぞお前!”


“えぇーーー!!やだよ純の鬼ぃぃ!!”











「……ふっ…」






つい最近の俺達のやり取りさえ懐かしくて思わず笑みが零れた。





────ここは俺らにとって城だった。





机に投げ出されたままの楽譜をそっと見つめる。





「この曲は……何か無性に腹立って作った曲やっけ……」
 



イスに座り、パラパラと楽譜をめくる。




そこには、その当時のそのままの想いがそのままの姿で残っていた。




これは何か悲しい事があった日に書いた曲。



これなんか、ヤケにテンションが高くて一日で、しかも一瞬でできたんやっけ。



これは超面白かった時やったな。




   
あ、これは────…  






────────ペラッ…





以前自分が創り上げた物を、ただただ夢中でめくっていた。



不思議なことに、一曲また一曲と見る度に当時の想いが溢れ返ってきた。




自分の“当時”をカタチとして残していた過去の自分。



ただがむしゃらで、ほんとに楽しくて。




純粋な想いが、言葉が



メロディーに乗せて、一字一句に当時の色んな想いがハッキリと詰め込まれていた。





その過去の自分から、今の自分が助けられているようで






「────────…」








俺はただ無言で楽譜を握り締めた。


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