Dearest 2nd 〜Moon〜
「────…あれ?純、ここにいたのか?」
「吾郎…」
「何してるんだ?教授が探してたぞ。」
ボーっとしている間に吾郎が部屋に入って来る。
ちょうど窓から見える木々の葉が風に揺れ、光が窓に反射されるのを見つめて俺は目を細めた。
「……なーんかさ。……ついつい、ね…。」
「何だそれ。」
言葉になってない俺を笑う吾郎。
多分俺が言葉に出来ない思いを受け止めてくれている。
何も言わなくてもすぐに気持ちを汲み取るのは、吾郎の凄さだと思う。
そのさりげない気遣いに、俺はいつも感動すら覚えていた。
「────…なぁ吾郎…。」
「んー?」
「俺って何で歌好きなんやっけ……」
ポツリ、と呟くように言った俺を、吾郎は呆れたように笑った。
「────理由なんてないよ。ただ好きだからだろ。」
「……」
「お前は難しく考え過ぎてるんだよ。
考え過ぎて余計分からなくなってるんだ。」
「……」
「好きな理由考えても迷宮入りするだけだよ。
好きなら好きで自分がどうしたいか、その姿勢を貫け。
────それがお前だよ。」
「吾郎…」
「────“彩ちゃん”、だっけ?お前の好きな子。
ライブ、連れて来いよ。」
「え?」
思わぬ名前に顔を上げる。
────彩…を?
吾郎は、全てを悟ったように微笑んだ。
「お前、あの状態でも彩ちゃんの前なら歌えたって言ったじゃないか。
────好きだからだろ?
好きだから、歌いたいって思って歌ったんだろ。
彩ちゃんも、歌も。」
「────────……」
「理由があるとするなら……
どうしても理由を付けたいなら…
きっとそれだよ。純。」