Dearest 2nd 〜Moon〜



────理由……か…。




自分から聞いておいて、いざ答えが返ってくるとまさにその通りで、間違いなくて。



吾郎が言った通り、俺は分からなすぎて難しく考え過ぎていたのかもしれない。


根本的に、俺は歌も音楽も好きだった。




────…そして彩の事も。




だからあの時歌いたかったし聞いて欲しかった。




ただそれだけだった。






「────彩か…。誘ったらライブ来てくれるかな…」




「さぁどうだろ?
でもそろそろその子のこと、いい加減俺らに紹介しろよ。

恋愛嫌いのお前がそんなに夢中になるその子の事見てみたいよ。」




「えぇー…?
んな夢中になってるんかな?
自分では全然分からへん……」




「ははっ、そりゃもう重症だな。」




吾郎はしょうがないなと笑う。



俺ももう何で悩んでたのかとかどうでも良くなってきて、一緒になって笑った。

 



 

「────…歌いたいかも…。もう一回…」






そう言うと、吾郎は笑って頷いた。







「自分からそう言ってくれんの、待ってたよ。」





待っててくれる人がいる。



それはきっとすごく幸せな事で、すごく有り難い事。




失った声と共に気付けたのなら、今まで悩んでいた事も無駄ではなかったと思う。




湧き上がる思いに、再び俺は音楽に対しての道標を取り戻した。






────もう一度歌おう。





待ってくれる人の為に。



聴いてほしい人の為に。



< 91 / 110 >

この作品をシェア

pagetop