Dearest 2nd 〜Moon〜
くるり、と髪をなびかせて振り向いた彩は、俺の胸を簡単にときめかせてくれる。
手を振りながら、俺を見て若干戸惑っている彩に近付いた。
キョロキョロと視線をはぐらかす君が、とんでもなく愛おしい。
────いつから。
いつから、俺はこの子にこんなに弱くなってしまったのだろう。
────…コツン。
顔を上げて欲しくて、彩の額に冷たい缶ジュースを小突いた。
「お疲れ♪
今日も補習やったん?」
「………えっ?
あっ、ううん!!
───…って言うか、合格した………。」
…………。
え?
「えぇぇぇ~!?!?!?
マジか!いつよ!?!?」
「うーんと、ほんのついさっき……。」
彩は照れながら缶ジュースを受け取るが、俺はまだ衝撃の余り、渡した手がそのままの状態で引っ込まない。
「……そっかぁ……
そっかそっか……!
───よかった………。
おめでとう!」
「……あ、ありがと……。」
そう言った君は頬の火照りを冷やすかのように缶ジュースを当てる。
……きっと猛勉強したんだろうな。
じゃないと、こんなに嬉しそうに笑わないもんな。
────きっとこの子は努力の子。
天才的ではないけれど、話を聞く分には典型的な努力型。
いきなり何でも最初から出来るタイプじゃなくて、毎日コツコツ積み重ねて最後にはモノにする頑張り屋。
一番近くでその背中を見ていたから、彩の性格は知っていた。
だから余計に嬉しい。
……ホント、良かった。
それなら……。
気兼ねなくライブ誘ってもオッケーかな?
「────あ!
じゃあさ、彩もよかったら学祭来てよ♪」
「────え?」
キョトン、とした彩。
「うん、俺の大学でやるんやけどさ♪
……えーと、ちょっと待てよ~。確かここに……
────あ♪あったあった!よかった、ラス1やった。」
残り一枚の、本当は君の為だけに残しておいたチケットを出し、あたかも偶然を装って。
……こんな見栄でも張らないと、誘える余裕なんかなかったから。
「………これ……?」
「───学祭のチケット♪
彩、受験かなぁって思ってたからさ、招待出来ひんかなぁって誘うの遠慮してたんやけど……
ちょうど受験終わったみたいやし、良かったら来て?
俺も、このライブ参加するからさ♪」
「───……えっ…!
ライブ………?」
「うん、彩が来てくれるんやったら俺120%くらいの力出して歌うから!♪」
……これは、本当。
「───行くっ!!!!行きたいっ!」
即答とも言える彩の笑顔が嬉しくて嬉しくて。
「……ありがと。
ほんま、マジで嬉しい。」
……俺は、嬉しさを隠しきれず笑顔が零れた。