Dearest 2nd 〜Moon〜
「楽しみだね、彩ちゃんに会うの。」
「オレも楽しみだよ!
アヤヤ、俺と気が合いそうだもんっ♡」
俺の横に立ち、同じ様に風を感じる吾郎と壱が笑った。
でも、ただ一人そこで賛成しないのは────…
「………」
マリアだけはただ一人、彩に会いたいとは微塵も思っていないようだった。
「マリア、彩はお前が思い込んでるような奴じゃないよ。」
「……」
マリアは簡単に人を信じない。
誰にも媚びないし、群れを嫌う。
女特有の群れが大嫌いで、その群れに入るくらいなら一人の方がよっぽど楽だという。
それ故に俺達以外の人間と、ましてや初対面の人間に心を開くなんて有り得ない。
俺達でさえ信用して心を開くまでかなりの時間を要したんだから、マリアにはこれがとても難しい事だとは分かっていた。
おまけにチカから彩の事を色々聞いていて、何か悪いことでも吹き込まれたらしく……
「あたしその子の事、別に興味ない。」
────シュボッ!
スパッと断言し、煙草を食わえ慣れた手付きでZippoに火を灯す。
……う~ん。
信用さえすれば、ホントにすげぇ良い奴なんだけど……
そこまでの扱いがめちゃめちゃ難しい。
俺でさえ、マリアと心を通わすまで相当な時間と力を尽くしたんだから。
「……そっか。ま、いいよ仕方ない♪
強要じゃないからさ♪」
ちょっと残念やけど、仕方ない。
彩とマリアじゃ性格がこれまた真逆すぎて、仲良くなる方が不思議かもしれないし。
「……さーて♪じゃあ迎えに行くかなっ」
車のキーケースをクルクル回し、俺は歩き出した。
「いってらっしゃーい♡あー楽しみぃ!!」
「気をつけてな、純」
「おぅ♪じゃあまた後でな♪」
煙草を食わえたまま無言で手を振るマリアに手を振り返し、
────パタン…
俺は彩を迎えに行く為、車のキーを回した。
────そう。
今日は学園祭当日だ。