Dearest 2nd 〜Moon〜
澄み渡った空に輝く朝日が眩しい。
こんな1日の始まりは、何もかもうまくいきそうでウキウキする。
地元に戻って彩を迎えに行くまで数時間。
そこからまたトンボ帰りして同じ道と同じ時間を掛けてこっちまで戻ってくる。
“そんなマメな事、よくやるよ”と吾郎に笑われたけど。
別に全然苦じゃないよ。
だって車の中での二人の時間って貴重じゃないか。
何気ない話とかしたりしてさ。
「♪」
俺は鼻歌を歌いながら、渋滞をすり抜けていく。
見慣れた景色に視界が収まったところで……
「……っと、そろそろかなー。」
ケータイを耳に翳し
──────PRRRR………
──────プツッ
『はっ、はい!』
「───……着いたで♪」
─────パタンっ!
そう言い終わるか言い終わらないかで玄関の扉が勢い良く開いた。
「────…よっ♪」
恥ずかしさを隠す様に車の窓から笑って手を振る俺は
もう笑顔を止めることが出来なくて。
「………おっ、おはよ!」
「────おはよ♪」
開いた車の扉から、ふわりといつもの君の香りが鼻を掠めて目眩さえ覚える。
……ヤバイな。
この匂いだけで抱き締めたくなる衝動が暴走しそうだ。
「…なぁ、あ……」
いつのものように“彩”と呼ぼうと君を見た瞬間、
─────……え……
瞬間的に、胸が焦げるかと思った。
─────いつの間に。
いつの間に、君はこんなに綺麗になった?
制服姿とは全然違う姿。
潤んだ唇に、緩く巻いた髪が綺麗に結われている君の姿。
長い睫毛を蝶が羽ばたく様にはためかせ、君はそこにいた。
「─────…っ、…」
君の綺麗な姿は、俺の胸を鋭く甘い痛みに変えて、簡単に突き刺す。
息遣いが漏れそうで、俺は慌てて口元に手を被せた。
「───…あの……?
朝岡さん……?」
─────頼むよ。
お願いだから、そんな声で。
首を傾げて俺にトドメをささないで。
「────…あっ、あぁ。………ごめん………」
「?」
……困ったな。
俺が必死に取り繕った余裕でさえ、簡単にブチ壊すなんて。
────……ホントにすげぇや。