その息尽きるまで時間は無限
次の日。

朝起きたら、母さんが仕事に向かおうとしていた。

「あら、真、おはよう。お母さん行ってくるね。」

「…ん」

「いってきます」

「いってら」


久しぶりに会話をした。




学校に行くと、ゴキブリの体液はまだ床に残っていた。


また花瓶が机の上にあった。
次の瞬間には耳障りな音と共に机から花瓶は無くなっていた。



ーーあれ?


無くなったんじゃない、落ちた。

いや、落とした。

机のすぐ横の床に、水とガラスびたしになって落ちている。

どうやら俺が落としたらしい。
記憶がないけれど。


『え、うそでしょ』
『さいあくぅ〜つまんな。』
『矢田が掃除しろよ』







…………………………………………ああああああああああああああああああああああああああああああうぜえうぜえうぜえうぜえうぜえうぜえ





「いいよ…わかったよ…片付けてやるよ…だまれよ…やめろよ…」

クラス中に言ってやろうと思ったのに、声は情けなく口の中にとどまるだけ。


大きく息を吸っても、次も口の中で溶けて行く。




ーーーーーもう、いいや。


何度やっても声が口の中で溶ける。

溶けるたびに吐き気がした。
< 202 / 219 >

この作品をシェア

pagetop