その息尽きるまで時間は無限
ホウキでガラスの破片を集めていると、濡沢が教室に入ってきた。

舌打ちをする。舌打ちはできた。

急に耳元に吐息がかかる。

肩を震わしてしまう。
振り返ると、気配なく、濡沢が俺のすぐ後ろに来ていた。

にんまりと、薄気味悪い顔。

どうせ、こいつがこうやって余裕ブレてるのは七晴のおかげなのに…。

俺を吐かせたのだって、七晴がいたから…なんだろ?



“虎の威を借る狐”


いつか七晴から聞いた言葉。

どうせ、濡沢だって同じなくせに。


「ふぅーん?真、掃除してんだ。朝から偉いじゃん。」

「……」

「すごいよね。どうせ死ぬって言うのに、呑気にお掃除なんてしてさ。 なに?罪滅ぼし?」

「…………」

…死ぬ?

当たり前だろ。そりゃ人はいつか死ぬ。


「人はいずれ死ぬとか、そうじゃなくて、真は近いうち結局殺されるっていうのに、バカだよね。」

考えていることを読んだように、また喋り出した。


「は?殺されるって、誰に。」



思わず、返事どころか質問までしてしまった。
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