警視正は彼女の心を逮捕する
「冗談にさせない」

 言葉を裏付けるような、熱い息と甘い瞳。
 決して声を張り上げたわけではない。
 しかしよく通る。

 周囲の皆さんが聞き耳を立てていたらしく、ヒュウと口笛が聞こえてくる。
 『いいぞ、いいぞー』って意味っぽい?

 無責任に持ち上げるの、やめてよ。
 あなた達は無傷でいられる。
 けれど、私の心は致命傷を負うんだから!
 
 とりあえず周囲は無視して、鷹士さんに問う。

「……あの、なんで私の考えていることわかるの」
「日菜乃はキュートだよ」

 質問には答えてくれず。
 また、唇が近づけてくる。

「歯を立てたくなる鼻。キスしたくなる、まるい額」
「ううぅ」

『耳が妊娠する』って言葉の意味を、体感しつつある。
 セクシーヴォイスすぎる。

 ……鷹士さん、以前は機動隊にも所属していたらしいけれど。
 彼が流行りの【DJポリス】だったら、説得力が半端なさそう。
 けれどイケヴォに聞き惚れちゃう人続出で、さらなる渋滞必至だ。

 直撃弾はさらに降ってくる。

「俺を煽ってやまない、ふわふわくるくるの天然パーマ」

 ……卒倒しなかった自分を褒めてやりたい。
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