警視正は彼女の心を逮捕する
 お父さんが、苦しそうに呟く。
 
『お前の誕生日。なんとか母さんだけでも祝わせてやりたかった。しかし、奥様は必ず用事を作ってくるんだ』
『……おじ様達が』

 衝撃だった。
 私を可愛がってくれていたお二人が、わざと用事を入れていたとは。

『だから、一年前に予定を入れておこうが、当日になって用事を言い渡されるに決まっている』

 お父さんの言葉にお母さんも同意した。

 二人とも諦めたような表情をしているから、両親の被害妄想というわけではないのだろう。

 たしかに運動会や父兄参観も一度も両親が来てくれたことがない。

 それどころか三者面談すらなかったことに、いまになって思い至った。
 先生が申し訳なさそうに『ご両親とは電話でやりとりしている。このあと、先生と藤崎で二者面談するからな』と言われたのは、中学も高校もだった。

『悠真様との同居だって』

 ぎくりとなる。
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