警視正は彼女の心を逮捕する
『政治家を志す前に変な女に捕まらないようにとの、旦那様のご指示だったんだ』

「……え……」

 お父さんによると、東京に出てからの悠真さんは恋人をとっかえひっかえしていたらしい。
 
 宗方のおじ様は私を帰国させ、悠真さんのお目付け役とした。
 マスコミに調べられても『手伝い』と言い切れるように私と同居させたのだと。

『もちろん、抗議した! ……だが』

 言い淀んだお父さんに鷹士さんが静かに言葉を挟んできた。

「宗方のおじさんは、日菜乃さんの学費について言及されたんですね」

 どういうこと?

「日菜乃さんは子供の頃から美術に造詣が深かった。宗方のおじさんは、そこに目をつけたのでしょう」

 私も両親も鷹士さんをじっと見る。

「悠真と結婚してもよし。結婚しなくても、彼女を宗方コレクションの管理者にしようと考えていた」

 私を?

「彼女の学費を捻出しやすいよう、あなたがたのお給料を増額されていたのではないでしょうか」

「そんな……!」

 顔を強張らせた両親を見て、鷹士さんの言葉が真実だと悟る。
 驚きで固まっていると、鷹士さんが私の手をぎゅ、と握ってくれ。
 ……彼から熱が伝わってきて、なんとか衝撃に耐える。


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