警視正は彼女の心を逮捕する
「……あれ」
クローゼットの取手に手をかけようとして気づいた。家具の位置が違う。
「ここ、どこ? ……あ」
見回してみれば、暖かな色彩でまとめられた師匠の家ではなかった。
モノトーンでスタイリッシュでありながら、落ち着けるインテリアの部屋。
さらに言ってしまうと、帰国してから恋人と同居していた部屋ですらなく。
「鷹士さんのおうちだった……」
おまけに、衝撃の事実まで思い出してしまった。
今日が休みだということに。
「出勤日用に起きちゃった」
アラーム解除してなかった。
いつもなら二度寝するんだけれど。
幼馴染とはいえ、鷹士さんのお宅でもう一度寝るのも、はばかられる。
居候だし。
「起きよ」
読みかけの本もあるし。なによりも、部屋を探さなければならない。
「うがいをさせてもらお」
そーっと部屋を出る。
左右を見れば廊下にドアが何個もあり、迷ってしまう。
うっかり鷹士さんの部屋を開けないようにしなければ。
「確か、洗面所は」
うろ覚えの記憶を引っ張りだす。
……無事に辿りついた場所でガラガラ喉を鳴らせていると。
トントン。
不意に引き戸のドアがノックされた。驚いた拍子に、うがいした水を飲み込んでしまう。
「ご、ごほっ」
咳き込みながら期待してしまう。悠真さん? 迎えに来てくれたの。
「日菜乃ちゃん!」
クローゼットの取手に手をかけようとして気づいた。家具の位置が違う。
「ここ、どこ? ……あ」
見回してみれば、暖かな色彩でまとめられた師匠の家ではなかった。
モノトーンでスタイリッシュでありながら、落ち着けるインテリアの部屋。
さらに言ってしまうと、帰国してから恋人と同居していた部屋ですらなく。
「鷹士さんのおうちだった……」
おまけに、衝撃の事実まで思い出してしまった。
今日が休みだということに。
「出勤日用に起きちゃった」
アラーム解除してなかった。
いつもなら二度寝するんだけれど。
幼馴染とはいえ、鷹士さんのお宅でもう一度寝るのも、はばかられる。
居候だし。
「起きよ」
読みかけの本もあるし。なによりも、部屋を探さなければならない。
「うがいをさせてもらお」
そーっと部屋を出る。
左右を見れば廊下にドアが何個もあり、迷ってしまう。
うっかり鷹士さんの部屋を開けないようにしなければ。
「確か、洗面所は」
うろ覚えの記憶を引っ張りだす。
……無事に辿りついた場所でガラガラ喉を鳴らせていると。
トントン。
不意に引き戸のドアがノックされた。驚いた拍子に、うがいした水を飲み込んでしまう。
「ご、ごほっ」
咳き込みながら期待してしまう。悠真さん? 迎えに来てくれたの。
「日菜乃ちゃん!」