警視正は彼女の心を逮捕する
 笑ったら、一生口聞いてあげないんだから。
 ううん、訂正。
 五分、ご機嫌とってもらえば充分。
 これは惚れた弱みだから、仕方ない。

 ゴクリ。
 唾液を飲み込んだ音が大きく響く。
 私はおそるおそる呟く。
 正解でありますように。

「…………私がいないと、鷹士さんは死んでしまう……から……?」
「そうだ」

 彼は満面の笑みを浮かべ、両腕を広げて待ち構えてくれている。

 もうだめ。
 私は我慢できなくて、鷹士さんへ飛び込んだ。

 彼はしっかりと受け止めてくれた。
 彷徨っていた唇が出会った途端、激しく貪られる。

 違った、私も彼を喰らう。
 ひょいと抱き上げられる。

「鷹士さん」

 彼の首に手を回しながら、私は喘ぐ。
 熱を孕んでいることを隠そうともしない双眸で伝えられた。

「日菜乃が欲しい」

 うん。

「私も」

 私達は口づけをかわしながら寝室へと向かった。
 ベッドにそっと横たえられる。

 私に馬乗りになりながら鷹士さんは艶然と微笑んだ。

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