警視正は彼女の心を逮捕する
 うう。
 こんな告白されたあとに、私のターンだなんて。
 一生懸命考える。
 この前の『公務執行妨害』の例で言うと……。

「騒乱罪はあなたの心を惑わせたから。窃盗罪は鷹士さんの心を盗んだから。……で、合ってマスか」

 恥ずかしくて、ついカタコトになる。
 穴掘って埋まりたい。

「正解」

 メープルシュガーを煮詰めて、そのうえから三温糖と黒蜜を振りかけたような極上の甘い眼差しで見つめられた。

 ……脳内に天使が降臨してきた絵が浮かんでるのだけれど。
 俗にお迎えってやつでは。
 私。このまま、悶え死ぬんじゃない? 

 見惚れたあまり、心拍数高頻脈・血圧上昇・呼吸停止になった。

「殺人教唆の罪は? わかるか」

 唇すれすれに囁かれる。
 うわ、致死量の色っぽさを浴びてしまった。
 鷹士さんこそ、私を悶え死に至らせる殺人犯じゃないか。
 あ。

 勘違いでなければ、鷹士さんの黒真珠の双眸が愛と欲でしっとりと濡れている。
 ものすごく、意味深な瞳。

 これは、間違えるわけにはいかない。
 ……とはいえ、出したファイナルアンサーが間違っていたら、私は単なるイタイ人ではないだろうか。

 色気たっぷりな瞳で見つめられる。

「いいから、言って。日菜乃の考えていることで間違いないから」

 そ、そうなの?
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