警視正は彼女の心を逮捕する
 *

 鷹士さん宅に住まわせてもらって、五日目。
 玄関を開けると真っ暗だった。

「……あれ。鷹士さん、お出かけかな?」

 今日は自宅でリモートワークと言っていた気がする。
 携帯を見れば急遽、出張になったとのメッセージが入っていた。

『飯の支度も出来てなくてすまない。帰って来れるにしても深夜すぎる。俺の飯は気にしないで。先に寝てて大丈夫だからね』

 気遣いしてくれることに、ほっこりする。

 ……悠真さんが遅くなるときは、私は食事を作って待っていた。そうしたかったから。
『ありがとう。日菜は優しいね』
 褒めてもらえるのが嬉しかった。

 でも。鷹士さんのメッセージは、正直ありがたい。
 とりあえず、なんと返そうか。
 リビングのソファに座ってから少し考えた。

 結局、なんの捻りもなく「お疲れ様です。無理しないでくださいね」と打ち込んだ。


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