【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。


「祥太くん、乾杯」

「乾杯」

 二杯目のシャンディガフを飲みながら、運ばれてきたメニューを堪能していく。

「このチーズすごく美味しいよ」

「マジ? 俺も食べようかな」
 
 あくまでも゙平然を装いつづ絵梨紗と一緒に過ごしていく。
 絵梨紗の美味しそうに食べる姿を見ながら、俺はずっとドキドキしていた。

「やばい、緊張するな……」

「ん? 祥太くん、今なんか言った?」

「いや、何も?」

 やばい。心の声が漏れてしまった。……気を付けないと。

「これも美味いぞ、絵梨紗。食べてみ?」
 
「本当?」
 
 とりあえずその時が来るのを、ドキドキしながら待っていた。
 
「絵梨紗、あーんしてやろうか?」

「えっ!? い、いいよ!恥ずかしいし!」

「遠慮するな。 ほら、あーん」
 
 絵梨紗の口にそっと料理を運ぶと、絵梨紗は恥ずかしそうにしながらも「あーん」と口を開ける。

「どうだ? 美味いか?」

「お……美味しい」

 そんな恥ずかしさを見せる絵梨紗のことがかわいくて仕方ないし、本当に愛おしい。

「えっ、なにっ!?」 

「お?」 
 
 そんなこんなで待っていると、店内が暗くなり始める。

「停電かな?」

 きたきた……。ついにこの時がきたか……。

「さあ?」

 一気に緊張と不安が押し寄せてくるが【頑張れ、俺】と心の中で喝を入れた。

「お誕生日、おめでとうございます!」

 店内が暗くなってすぐに明るくなると、プレートを持った店員が絵梨紗の元へと歩み寄っていく。
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