【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。
サプライズとプロポーズ〜祥太目線〜
「私、ちょっとお手洗い行ってくるね」
「ああ」
絵梨紗が一旦席を立った時、思わず緊張して「はあああ」と大きなため息が出た。
「いや、落ち着け俺……」
このままだと緊張が絵梨紗にも伝わってしまいそうで怖い。
いざプロポーズをしようと考えていたのに、どんなタイミングでプロポーズをするべきかがわからず戸惑ってしまう。
「焦るな、焦るな俺」
何も行き急ぐことじゃないということはわかっているが、緊張してしまってタイミングを失いそうになる。
絵梨紗がこんなにも喜んでくれているのに、タイミングを間違えれば俺は絵梨紗から失望されてしまう可能性すらある。
でもすると決めたからには実行しないと、それは男じゃないと思うんだ。
男からビシッと有言実行に移すべきだ。 俺は絵梨紗に今日プロポーズすると決めたんだ。
すると、そこに店員がやって来て俺に「三国様、例のアレは、いつお持ちしましょうか?」と聞いてくる。
「……はい。すぐにお願いします」
「かしこまりました」
例のアレとは、今のところ絵梨紗には内緒にしている案件だ。 ここでバレる訳にはいかない。
とりあえず絵梨紗がもうすぐ戻ってくるだろうから、アレが運ばれてきた時点でプロポーズをしよう。
きっと絵梨紗に後悔はさせない。 一番最高の日にすると約束したんだ。
絵梨紗、喜んでくれるといいな……。
「祥太くん、ごめんね。お待たせ」
「ああ」
絵梨紗はそのことをまだ何も知らない。 悟られないように、平然を装うんだ。