【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。


 両想いか……。そっか、両想いなんだ私たち。

「七年も経ってるから、もう私のことなんて……忘れてると思ってた」

 私がそう話すと、アイスコーヒーを飲み終えた三国くんが「俺も、絵梨沙ももうとっくに俺のことなんて忘れてると思ってた」と私を見る。

「……忘れる訳、ないじゃない」

 こんなに三国くんのことを思ってたのに、忘れる訳はないのに。

「右に同じくだよ」

「正直……三国くん、もうとっくに結婚してるかと思ってた」

「え?」

「三国くんにはもういい人が見つかって、とっくに結婚して幸せになってるかと思ってたから、彼女いないのも結婚してないのも聞いて、ビックリした」

 こんなにカッコイイなら、普通は結婚しててもおかしくないし、子供もいてもおかしくないだろうし。

「まあ向こうにいる時に、確かに彼女はいたんだけど……。元カノはさ、俺がずっと絵梨沙のことが忘れられないことを知ってて、付き合ってたんだよ」

「……え?」

「俺に好きな人がいてもいい。それでもいいからって言ってくれて、付き合ってたはいたんだけどな……。まあ俺がそれで罪悪感を感じてるってことを知って、別れたんだ。 向こうにも申し訳ないことをしたと思ってる」

 そんな事情があることも知らずに、私はなんとなく胸の奥が痛くなるような感覚を覚えた。

「向こうで弁護士になるために一生懸命勉強して、司法試験を受けて晴れて弁護士になれた。 そしたら日本の法律事務所にスカウトされて、日本に来ることにしたんだ」
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