【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。
「……え?」
絵梨沙は予想していた通り、俺が今目の前にいる状況に驚いているようで、目を丸くしている。
「え、絵梨沙……?」
俺も偶然再会したように装うため、驚いたフリをした。
「……三国、くん?」
七年経っても、相変わらず絵梨沙はかわいいなと感じる。
「え、どうしてここに絵梨沙が?」
「三国くんこそ、どうして……?」
まあそうなるよな……。でも俺は絵梨沙に会いに来たんだ。
「絵梨沙、もしかしてここで働いてるのか?」
「あ、うん。そうだけど……」
絵梨沙の制服姿は初めて見たがとても似合っていて、書店店員さんの雰囲気を感じた。
「何年ぶりだろうな?……七年くらい経つか?」
「そうだね。そのくらいかな」
「そっか。あれからもう七年か」
「そう、だね」
絵梨沙は俺が今ここにいることを夢だと思っているのか、目が泳いでいる。
「絵梨沙、今日仕事何時まで?」
俺がそう聞くと絵梨沙は「今日は早番だから、十八時までだけど」と答えたので、「じゃあさ、せっかくだし飯でも行かない?」と絵梨沙をさり気なく誘ってみた。
「えっ?」
え? いや、そんなに驚くことか?
「あ、悪い。忙しいよな」
あえて押したら引いてみろ作戦を決行してみると、絵梨沙は驚きながらも「あ、ううん。大丈夫だよ。 ビックリしただけ、だから」と話してくれる。
「そうか。 じゃあ決まりだな」
良かった。絵梨沙のことを誘うことが出来て、とりあえずホッとした俺は一旦店を出てその足で事務所へと戻った。