【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。
「ちょっと絵梨沙ちゃん、さっきのイケメン誰ー?」
三国くんがレジの方へ歩いていった後、近くにいた先輩の金町さんがニヤニヤしながら私の元へ歩みよってくる。
「あ、三国くんのこと、ですか……?」
「やだ、あのイケメン三国くんって言うの?」
「はい。 大学の同級生、なんです」
金町さんは「そう、大学の同級生なの! イケメンねえ?」とニヤニヤしている。
私はその時、三国くんとの関係は言わずにおこうと思った。
ややこしいことには、なりたくないと思ったというのもある。
「で、あのイケメンくんと何話してたの?」
「あ、久しぶりって話をしてただけですよ。 大学卒業してから会ってなかったので……」
「そうなの? なに、運命ってことかしら?」
「……どう、ですかね」
さすがに運命ではないと思うけど……。
そんなこんな定時の十八時を迎えた私は、タイムカードを切り上がった。
そういえば三国くんとどこで待ち合わせするのかと決めてなかったな。……どうしよう。
三国くんの携帯の番号は残してあるけど、掛けてないから繋がるかはわからない。
「どうしよう……掛けてみた方がいいかな」
スマホをポケットから取り出して、三国くんの番号を表示する。
だけど押すかどうか躊躇っていると、後ろから「絵梨沙」と声を掛けられた。
「……三国、くん」
「絵梨沙、お疲れ」
「お疲れ……様」
やばい。何を話せばいいのか、わからない。