【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。
「はい、到着」
「ありがとう、祥太くん」
俺は車のドアを開けると車から降りると、車の助手席のドアを開けて「はい、どうぞ」と絵梨沙に手を差し伸べた。
「え? あ、ありがとう」
ちょっと驚きながらも、絵梨沙は俺の手を取り車から降りた。
「絵梨沙とはもうここでお別れか。寂しいな」
俺がそう話したら、絵梨沙は「ねえ、祥太くん……?」と俺を見つめる。
「良かったら、コーヒーでも飲んで行かない? 美味しいコーヒー豆をもらったんだ」
絵梨沙は目で俺に【もっと一緒にいたい】と訴えかけているように見えて、俺の胸はときめいた。
「……じゃあ、上がっていこうかな」
「うん、一緒にコーヒー飲もう」
「ああ」
絵梨沙の買い物した袋を手にし、絵梨沙の家へ上がった。
「座って待ってて、祥太くん」
「ありがとう。 大したことじゃないんだけど、祥太くんに運転してもらったお礼がしたくて」
俺はそんな絵梨沙に向かって「気にしなくていいって言ったのに」と返したが、絵梨沙は「そういう訳にもいかないよ。 ちゃんとお礼させて」と聞かなかった。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
でも俺は、そんな礼儀正しい絵梨沙のことも好きだ。
「うん、祥太くんはブラックだよね?」
「ああ」
俺はほぼブラックしか飲まないけど、絵梨沙と一緒に飲むコーヒーが一番美味しいと感じている。
好きな人と一緒に飲むコーヒーは、世界で一番美味しい。
絵梨沙とこうして毎日一緒にいられたら、俺はきっと幸せだろうな。