失恋には、甘いものより橋立君。

橋立君

放課後、下校時間になったんだろうか。
生徒達の話し声が聞こえてきた。

でも、まだ教室に戻るのは早い。

多分響と遙香は教室掃除にあたっていたはずだ。

今教室に戻れば、2人と鉢合わせすることになってしまう。
それだけは避けたい。

私はもう暫く待つことにした。


「ねぇ、莉乃は一体どこに行ったんだろうね。」

「さぁな。アイツが授業サボるなんて滅多にないのに。」

遙香と響の声だ。

だんだん2人の声が遠ざかっていく。 
多分女子トイレの前を通ったのだろう。

そろそろ戻るか。
私は女子トイレから出て、教室に向かった。

その途中、あの綺麗な顔の男子とすれ違った。
一瞬目が合った。その時、

「おい。そこの女。」

声を掛けられた。

「はい?」

「お前、岩倉さんといつも一緒にいる奴だよな?」

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