失恋には、甘いものより橋立君。

好きな人

「おはよう、莉乃!」

遙香と話をしていると、そんな声が聞こえてきた。見ると、ニコニコとした顔でこちらを見ている男の子と目が合った。

彼の名前は岩倉響。
遙香の双子の弟で、私の大好きな人。

幼い頃から家が近いこともあり、私と遙香と響の3人でよく遊んでいた。
今でも私達3人は仲が良い。

小中高と同じ学校で、クラスが離れることの方が多かったのだが、幸運にも今年度は私達3人とも同じクラスになれたのだ。
クラス発表を見た時には思わず嬉し泣きをしてしまった。

「おはよう、響。」

同じくニコニコしながらそう言った。

「響、寝癖ついたままじゃん!」

遙香が苦笑しながら言った。

「え、ウソ!」

響がスマホの画面を鏡代わりにして、自分の髪型をチェックした。

「うわ、ホントだ。最悪ー。ちゃんと直してきたつもりだったのにー。」

響が泣きそうな顔で言った。

確かに、ちょっと寝癖ついてるけど、響は格好いい。…って、そんなことは本人に言う勇気はないのだけれど。
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