最悪な結婚のはずが、冷酷な旦那さまの愛妻欲が限界突破したようです
「嫌なら拒否しないと、このままキスするぞ」
以前にも同じセリフを言われたのを思い出し、目を瞠る。
『先に入らないとこのままキスするぞ』
あのときは慌ててキスと反対の選択肢を選んだ。
けれど、本当は――。
「嫌じゃ……ないです」
消え入りそうな声で白状する。だって、嫌じゃない。彼が好きだから。
ずっと抑えていたけれど、いいのかな? 貴治さんを好きでも……。
貴治さんは目を丸くした後、切なげな表情になった。頬を撫でられ、おもむろに目を閉じると、唇に柔らかい感触がある。
唇が離れた後、そっと目を開けたら貴治さんの整った顔がすぐそばにあり、羞恥心で体温が一気に上昇する。
ふいっと視線を下に向けると、再び顔が近づき二度目の口づけを受け入れる。それから、重ねるだけなのに優しくて丁寧なキスを幾度となく繰り返される。
角度を変え、緩急をつけながらまるで緊張をほぐすかのような口づけに、唇の力が少しずつ抜けていく。
「臨」
唇が離れ、改めて名前を呼ばれる。上目遣いにうかがうと、貴治さんは苦笑した。
「息を止める必要はない」
「は、はい」
思わぬ指摘に真面目に答える。経験がないのがバレバレだ。いたたまれなくなっていると、貴治さんが小さく噴き出した。
「なんで笑うんですか?」
少しだけ抗議の意味も込めて尋ねる。慣れていなさすぎて、あきれられてしまったのかもしれない。
以前にも同じセリフを言われたのを思い出し、目を瞠る。
『先に入らないとこのままキスするぞ』
あのときは慌ててキスと反対の選択肢を選んだ。
けれど、本当は――。
「嫌じゃ……ないです」
消え入りそうな声で白状する。だって、嫌じゃない。彼が好きだから。
ずっと抑えていたけれど、いいのかな? 貴治さんを好きでも……。
貴治さんは目を丸くした後、切なげな表情になった。頬を撫でられ、おもむろに目を閉じると、唇に柔らかい感触がある。
唇が離れた後、そっと目を開けたら貴治さんの整った顔がすぐそばにあり、羞恥心で体温が一気に上昇する。
ふいっと視線を下に向けると、再び顔が近づき二度目の口づけを受け入れる。それから、重ねるだけなのに優しくて丁寧なキスを幾度となく繰り返される。
角度を変え、緩急をつけながらまるで緊張をほぐすかのような口づけに、唇の力が少しずつ抜けていく。
「臨」
唇が離れ、改めて名前を呼ばれる。上目遣いにうかがうと、貴治さんは苦笑した。
「息を止める必要はない」
「は、はい」
思わぬ指摘に真面目に答える。経験がないのがバレバレだ。いたたまれなくなっていると、貴治さんが小さく噴き出した。
「なんで笑うんですか?」
少しだけ抗議の意味も込めて尋ねる。慣れていなさすぎて、あきれられてしまったのかもしれない。