最悪な結婚のはずが、冷酷な旦那さまの愛妻欲が限界突破したようです
最後の数字を入力して、キーボードを打つ手を止める。やっと終わりが見えてきた。固まった体をほぐすように伸びをする。きりもいいし、この辺で昼休憩としよう。
仕事は相変わらず忙しいが、やりがいはある。スマホの画面をちらりと見た。
気づけば二神さんから結婚を持ちかけられたあの日から、今日で三日目だ。あっという間に彼の言う返答期限になってしまい、なんだか落ち着かない。
とはいえ、どうやって答えたらいいんだろう? 私は彼の連絡先を知らないし、彼に私の連絡先も伝えていない。
ああ、もう。どうして答える方の私がこんなにも緊張して、気を揉んでいるのか。
そもそもこれは普通の結婚ではなく、期間限定の完全に割り切ったものなのに。
なんだか馬鹿らしくなり、席を立つ。
「高松」
「はい」
名前を呼ばれ振り向くと、先輩である矢代陽介が近づいてきた。新入社員だった私の教育係であり、今も職場のよき先輩としてなにかと気にかけてもらっている。
明るすぎない茶色の髪はよく似合っていて、面倒見のいいところなどは男女問わずに慕われていた。信子にはあんなふうにからかわれたけれど、矢代先輩とはまったくそんな雰囲気はない。
「お疲れ。この前話していた『カルペ・ディエム』の限定ペアディナーの予約、取れたら一緒に行くか?」
彼の言葉に目を見開く。
仕事は相変わらず忙しいが、やりがいはある。スマホの画面をちらりと見た。
気づけば二神さんから結婚を持ちかけられたあの日から、今日で三日目だ。あっという間に彼の言う返答期限になってしまい、なんだか落ち着かない。
とはいえ、どうやって答えたらいいんだろう? 私は彼の連絡先を知らないし、彼に私の連絡先も伝えていない。
ああ、もう。どうして答える方の私がこんなにも緊張して、気を揉んでいるのか。
そもそもこれは普通の結婚ではなく、期間限定の完全に割り切ったものなのに。
なんだか馬鹿らしくなり、席を立つ。
「高松」
「はい」
名前を呼ばれ振り向くと、先輩である矢代陽介が近づいてきた。新入社員だった私の教育係であり、今も職場のよき先輩としてなにかと気にかけてもらっている。
明るすぎない茶色の髪はよく似合っていて、面倒見のいいところなどは男女問わずに慕われていた。信子にはあんなふうにからかわれたけれど、矢代先輩とはまったくそんな雰囲気はない。
「お疲れ。この前話していた『カルペ・ディエム』の限定ペアディナーの予約、取れたら一緒に行くか?」
彼の言葉に目を見開く。