最悪な結婚のはずが、冷酷な旦那さまの愛妻欲が限界突破したようです
仕事終わり、いつもとは違う電車に乗り、バスに乗り継ぐ。
慣れない移動に思ったより時間がかかってしまった。大分日は長くなったもののもう薄暗い。
何度もスマホに表示された地図と記憶を頼りにやっと目的地についた。 やってきたのは、貴治さんの実家だ。
「いらっしゃい」
「こんばんは。お邪魔します」
この前と同じようにお手伝いさんに案内され、リビングでソファに座り私を待っていたのは貴治さんのお母さんだった。
イエローゴールドの花柄のワンピースを着て、相変わらずゴージャスな印象だ。
私に用事があるからとわざわざ職場まで電話をかけてきた張本人で、詳しい用件は伝えられなかったものの貴治さんが仕事で遅くなることは知っていた。
断る理由が浮かばず、一応貴治さんにご実家に向かう旨のメッセージを送ってはいる。
「それにしても平社員なのにもかかわらず、ずいぶん遅くまで働かされるのね。錦食品はブラックなのかしら? それともあなたが仕事ができないの?」
お母さんからの呼び出しがあったので定時で上がったが、今の時刻は午後七時半すぎだ。
「遅くなってしまって、すみません。仕事は定時で上がったのですが乗り換えに手間取ってしまって……。地図を確認しながら最寄駅から歩いていたら、思ったより時間がかかってしまったんです」
素直に頭を下げると、お母さんが訝しげな表情になった。
「タクシーを使わなかったの?」
「はい……」
やはり呼び出されたのなら、タクシーを使ってでも早めに訪れるべきだったかもしれない。けれど、タクシーを使うと、結構な距離になるし……。
慣れない移動に思ったより時間がかかってしまった。大分日は長くなったもののもう薄暗い。
何度もスマホに表示された地図と記憶を頼りにやっと目的地についた。 やってきたのは、貴治さんの実家だ。
「いらっしゃい」
「こんばんは。お邪魔します」
この前と同じようにお手伝いさんに案内され、リビングでソファに座り私を待っていたのは貴治さんのお母さんだった。
イエローゴールドの花柄のワンピースを着て、相変わらずゴージャスな印象だ。
私に用事があるからとわざわざ職場まで電話をかけてきた張本人で、詳しい用件は伝えられなかったものの貴治さんが仕事で遅くなることは知っていた。
断る理由が浮かばず、一応貴治さんにご実家に向かう旨のメッセージを送ってはいる。
「それにしても平社員なのにもかかわらず、ずいぶん遅くまで働かされるのね。錦食品はブラックなのかしら? それともあなたが仕事ができないの?」
お母さんからの呼び出しがあったので定時で上がったが、今の時刻は午後七時半すぎだ。
「遅くなってしまって、すみません。仕事は定時で上がったのですが乗り換えに手間取ってしまって……。地図を確認しながら最寄駅から歩いていたら、思ったより時間がかかってしまったんです」
素直に頭を下げると、お母さんが訝しげな表情になった。
「タクシーを使わなかったの?」
「はい……」
やはり呼び出されたのなら、タクシーを使ってでも早めに訪れるべきだったかもしれない。けれど、タクシーを使うと、結構な距離になるし……。