最悪な結婚のはずが、冷酷な旦那さまの愛妻欲が限界突破したようです
『祖母の思い出も家も大事にしている臨を見たら、わかる。臨も、おばあさんも幸せだったんだろうな』
『臨が迎えに来てくれて感謝しているんだ。だから自分のせいとか思う必要ない』
最初は私がおばあちゃんの家を手放さないのを、さんざん否定していたのに……。
それなのに、いつの間にか私の気持ちや行動を肯定して受け入れてくれるようになった。苦しかった祖母への想いも貴治さんの言葉で救われた。だから、彼のためにできることはしたい。がんばろうって。でも……。
『君ならこの家が欲しくて、下手に婚姻関係の継続を希望や感情に振り回されず、こちらのいいタイミングでさっさと別れてくれるだろう?』
貴治さんが私を選んだ理由は、はっきりしている。
彼を想う気持ちは、貴治さんだけではなく祖母も裏切ってしまう。この感情は不要だ。
私には、あの家しかない。おばあちゃんの大切なものを守らないと。
そのために彼の手を取った。どうせ別れるんだから、全部割り切らなきゃ。
自分の頬を軽く叩く。そこでふと気づいた。
結構長い時間湯船に浸かっている。髪を洗うのは後にして貴治さんに早く入ってもらわないと。
バスルームに入る直前のやりとりを思い出し、頬が熱くなる。しかしすぐに頭を振った。
貴治さんにとってはきっとなんでもない。意識しているのがばれたら、自分の気持ちまで見透かされてしまうかもしれない。
貴治さんがお風呂に入っている間に、きちんと気持ちを切り替えよう。
そう決意していたのに――。
『臨が迎えに来てくれて感謝しているんだ。だから自分のせいとか思う必要ない』
最初は私がおばあちゃんの家を手放さないのを、さんざん否定していたのに……。
それなのに、いつの間にか私の気持ちや行動を肯定して受け入れてくれるようになった。苦しかった祖母への想いも貴治さんの言葉で救われた。だから、彼のためにできることはしたい。がんばろうって。でも……。
『君ならこの家が欲しくて、下手に婚姻関係の継続を希望や感情に振り回されず、こちらのいいタイミングでさっさと別れてくれるだろう?』
貴治さんが私を選んだ理由は、はっきりしている。
彼を想う気持ちは、貴治さんだけではなく祖母も裏切ってしまう。この感情は不要だ。
私には、あの家しかない。おばあちゃんの大切なものを守らないと。
そのために彼の手を取った。どうせ別れるんだから、全部割り切らなきゃ。
自分の頬を軽く叩く。そこでふと気づいた。
結構長い時間湯船に浸かっている。髪を洗うのは後にして貴治さんに早く入ってもらわないと。
バスルームに入る直前のやりとりを思い出し、頬が熱くなる。しかしすぐに頭を振った。
貴治さんにとってはきっとなんでもない。意識しているのがばれたら、自分の気持ちまで見透かされてしまうかもしれない。
貴治さんがお風呂に入っている間に、きちんと気持ちを切り替えよう。
そう決意していたのに――。