最悪な結婚のはずが、冷酷な旦那さまの愛妻欲が限界突破したようです
「だ、大丈夫です!」
「いいから、じっとしてろ」
声を張り上げるが、あっさり一蹴される。どうしてこんな状況になったのか。
ドライヤーの熱と音、彼の手のひらの感触に頭が回らない。
一刻も早く貴治さんにバスルームを使ってもらおうと、ドライヤーをもってリビングで待っていた彼に声をかけた。少しだけ髪が濡れてしまったので、こちらで軽く乾かそうとしたのだ。
そのままバトンタッチ……とはいかず、なぜかソファで貴治さんに髪を乾かされている。
「ちゃんと乾かさないと風邪を引く」
「だから、自分でできますって」
すぐうしろにいる彼に訴えかけるが、聞き入れてもらえない。
おそらく貴治さんは、私が髪を乾かすのもそこそこに夕飯の準備に取りかかると思っているのだろう。あながち間違ってはいないけれど……。
ずっと心臓がうるさい。子どもの頃や美容院以外で髪を乾かされるなど……ましてや男性にこんなことをしてもらうのは初めてだ。
割り切るって決めたばかりなのに。
長い指が私の髪をすべり、手のひらが頭に触れるたび胸が痛い。動揺が伝わらないように、前を向いてひたすら耐える。
それにしても。少ししか濡れていないとはいえ、髪が長いから乾かすのは大変じゃないだろうか。
今まで付き合ってきた女性にもこんなふうに、してたのかな?
思考があちこちに飛びながら私の心は乱れっぱなしだ。ややあってドライヤーのスイッチが切られ、軽く頭を撫でられる。
「乾いたか?」
「はい。ありがとうございます、十分です。丁寧に乾かしてもらって……」
失礼だけれど彼の顔が見られないままお礼を告げる。
「ならいい。人の髪なんて乾かした経験ないからな」
「え?」
聞き間違いかとつい振り返ってしまう。そのタイミングで、貴治さんの方に引き寄せられた。
「いいから、じっとしてろ」
声を張り上げるが、あっさり一蹴される。どうしてこんな状況になったのか。
ドライヤーの熱と音、彼の手のひらの感触に頭が回らない。
一刻も早く貴治さんにバスルームを使ってもらおうと、ドライヤーをもってリビングで待っていた彼に声をかけた。少しだけ髪が濡れてしまったので、こちらで軽く乾かそうとしたのだ。
そのままバトンタッチ……とはいかず、なぜかソファで貴治さんに髪を乾かされている。
「ちゃんと乾かさないと風邪を引く」
「だから、自分でできますって」
すぐうしろにいる彼に訴えかけるが、聞き入れてもらえない。
おそらく貴治さんは、私が髪を乾かすのもそこそこに夕飯の準備に取りかかると思っているのだろう。あながち間違ってはいないけれど……。
ずっと心臓がうるさい。子どもの頃や美容院以外で髪を乾かされるなど……ましてや男性にこんなことをしてもらうのは初めてだ。
割り切るって決めたばかりなのに。
長い指が私の髪をすべり、手のひらが頭に触れるたび胸が痛い。動揺が伝わらないように、前を向いてひたすら耐える。
それにしても。少ししか濡れていないとはいえ、髪が長いから乾かすのは大変じゃないだろうか。
今まで付き合ってきた女性にもこんなふうに、してたのかな?
思考があちこちに飛びながら私の心は乱れっぱなしだ。ややあってドライヤーのスイッチが切られ、軽く頭を撫でられる。
「乾いたか?」
「はい。ありがとうございます、十分です。丁寧に乾かしてもらって……」
失礼だけれど彼の顔が見られないままお礼を告げる。
「ならいい。人の髪なんて乾かした経験ないからな」
「え?」
聞き間違いかとつい振り返ってしまう。そのタイミングで、貴治さんの方に引き寄せられた。