最悪な結婚のはずが、冷酷な旦那さまの愛妻欲が限界突破したようです
「もちろん独特な世界だし、臨さんが不安になるのも理解できるよ。それらは直接、貴治くんに伝えたらいいんじゃないかな? そうやって少しずつ夫婦になっていくものさ」
「……ありがとうございます」
真摯に向き合ってくれる鎌田社長に、胸を打たれる。改めて彼は人格者だと感じた。
「ところで臨さん」
鎌田社長が周りを見渡し、わざと小声で言ってきたので、私も耳を傾ける。
「ふたりの出会いからすると……もしかしてぼくがキューピットだったりするのかな?」
茶目っ気たっぷりに問いかけられ、ふっと噴き出しそうになった。笑みがこぼれ、鎌田社長に答える。
「そうです。鎌田社長のおかげで、私は貴治さんと結婚できたんです」
おばあちゃんの家を手に入れるからだけじゃない。いつの間にか貴治さんと結婚してよかったと私自身、思えるようになっていた。
会場に戻ると、きょろきょろと見渡し貴治さんを探す。目立つ人だから、すぐに見つかるだろうけれど……。
そこで彼を視界の端に捉え、足早に近づいた。
「貴治さん」
呼びかけると彼の視線がこちらに向き、その隣に女性がいることに気づく。「あ」と口にしそうになったのは、彼女に見覚えがあったからだ。
「臨」
「あら」
口紅で妖艶に彩られた彼女の唇が弧を描く。体のラインがはっきりとわかる黒のロングドレスは、ハイネックタイプだがデコルテ部分がシースルーになっており、とっても色っぽい。
「……ありがとうございます」
真摯に向き合ってくれる鎌田社長に、胸を打たれる。改めて彼は人格者だと感じた。
「ところで臨さん」
鎌田社長が周りを見渡し、わざと小声で言ってきたので、私も耳を傾ける。
「ふたりの出会いからすると……もしかしてぼくがキューピットだったりするのかな?」
茶目っ気たっぷりに問いかけられ、ふっと噴き出しそうになった。笑みがこぼれ、鎌田社長に答える。
「そうです。鎌田社長のおかげで、私は貴治さんと結婚できたんです」
おばあちゃんの家を手に入れるからだけじゃない。いつの間にか貴治さんと結婚してよかったと私自身、思えるようになっていた。
会場に戻ると、きょろきょろと見渡し貴治さんを探す。目立つ人だから、すぐに見つかるだろうけれど……。
そこで彼を視界の端に捉え、足早に近づいた。
「貴治さん」
呼びかけると彼の視線がこちらに向き、その隣に女性がいることに気づく。「あ」と口にしそうになったのは、彼女に見覚えがあったからだ。
「臨」
「あら」
口紅で妖艶に彩られた彼女の唇が弧を描く。体のラインがはっきりとわかる黒のロングドレスは、ハイネックタイプだがデコルテ部分がシースルーになっており、とっても色っぽい。