村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

大泣きしている葵を抱っこしてあやしながらつぶやく。
葵が自分から危険な場所へ行くのはハイハイしはじめてからずっと続いていることだった。

長く続けていれば危ないと覚えそうなものだけれど、葵にはそれがない。
もしやなにか障害でもあるのではないかと、懸念しているのだ。

「おい、どうした？」
大きな鳴き声を聞きつけて父親が店から飛んで戻ってきた。

料理屋の裏手に住居空間があるので、すぐにかけつけることができる。
「この子、またタンスに頭をぶつけたの」

「またか。大丈夫だったか？」
父親が母親の手から葵を抱き取って聞くが、葵は泣いてばかりだ。

「ねぇ、この子本当に大丈夫かしら。なにか普通じゃないのかもしれないわ」
「バカ言え。そんなわけないだろう！」

父親から一括された葵の母親はそれ以上葵について話そうとしなかった。
だけどこの直感は正しかったのだ。

☆☆☆