幽霊学級
「ねぇ、ちょっといい?」
休憩時間に入ると、僕はすぐにユリちゃんへ声をかけた。
ユリちゃんは驚いた顔を浮かべていたけれど、すぐに笑顔になった。
「えっと、真崎くんだっけ? 私蒲生」
そういえばユリちゃんと自己紹介するのはこれが初めてだと気がついた。
僕は3人から色々と話を聞いているから、つい下の名前で呼びそうになってしまった。
「よろしく」
一応頭を下げると「それで、私に用事ってなにかな?」と、ユリちゃんが小首をかしげてきた。
その仕草は可愛らしくて誠が好きになるのも納得できると思った。
「ここじゃ、ちょっと……」
僕はそう言ってユリちゃんと一緒に廊下へ出た。
廊下のできるだけ人のいない隅へと移動してようやく立ち止まる。
「こんなところでなんの話?」
ユリちゃんはひと気のない場所に落ち着かない様子だ。
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