幽霊学級
翌朝、いつもより30分前に起きた僕は自分でトーストを焼いてかじりついていた。
バターの甘じょっぱい味が口いっぱいに広がってよだれが出る。
「あら郁哉、今日はどうしたの?」
エプロンをつけてキッチンに入っていた母親が目を丸くして、パンにかじりつく僕を見る。
「今日は少し早く出ようと思って」
「あら、学校でなにかあるの?」
そう聞かれて一瞬功介のことを説明しようかと思ったが、やめておいた。
これから功介の家に行くなんて言ったら、きっと心配するだろうから。
「実は僕のクラスで金魚を買い始めたんだ。今日は餌やり当番だから早く行くんだ」
もっともらしい嘘をつくときに、心臓がドキドキした。
だけど母親はすぐに信じてくれて「そう。大変ね」と、言っただけだった。
いつ嘘がバレるかわからない後ろめたさがあり、僕はさっさとパンを飲み込んですぐに椅子から立ち上がった。
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