白雪姫は、もう目を覚さない
プロローグ
あの日から、世界の色が薄くなった。

鮮やかなはずの街の色も、
君が笑っていたあの場所も、
今は全部、夢の続きみたいにぼやけている。

俺は、ずっと生きる意味なんて持ってなかった。
明日が来ても来なくても、どうでもよかった。

でも、君がいたからー
ちゃんと“生きよう“って思えたんだ。

会いたいとか、戻りたいとか、
そんな言葉で片づけられるほど、
俺はまだ大人じゃない。

だけど、確かに思う。
あの瞬間だけは、俺は生きていた。
君と一緒に。

ーこれは、俺の姫に捧げる最後の物語。
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