ありふれた日常こそ、尊い。
わたしは、9歳の時に母を事故で亡くしていた。
自転車でパートに向かう途中に、横から大型トラックが突っ込んできて、母は即死だったらしい。
そして母が亡くなってから、父はみるみる内に衰弱していき、母が亡くなってから半年後に自宅で首を吊って亡くなっていた。
学校から帰って来て、天井からぶら下がっていた父の姿は、忘れたくても今でも忘れることが出来ない。
それから、わたしは母方の祖父母に引き取られ、育てられた。
そんな祖父母も二年前に他界した。
先に祖母が肺炎に罹り悪化して亡くなり、その二ヵ月後に祖母の後を追うように祖父は心筋梗塞で亡くなったのだ。
男性は、奥さんに先立たれると後を追うように亡くなる、なんて聞いたことがあるけれど、実体験から本当なんだなぁと感じていた。
そして、わたしが現実から逃げるようにアニメやゲームの世界に没頭するようになったのは、そのせいかもしれない。
現実では、ツライことばかりだった。
心を許せる友達も出来たことがなかった。
両親を亡くしてから、祖父母に心配をかけないように無意識に元気なフリをするようになり、その心の支えがアニメとゲームだった。
だから、わたしは現実をみるのが怖いのかもしれない。
もう27にもなって、逃げてばかりじゃいけないって、分かってる。
でも、、、前を向こうとすると、思い出してしまうのだ。
最期の姿を見せてもらえなかった母の葬儀。
天井にぶら下がっていた父の姿。
わたしの過去は、誰にも話したことがなかった。