推しは恋のキューピッド

一緒に帰りましょ

なんだかんだ没頭して仕事に取り組み、
定時にはなんとか仕事が終わった。


私が一息ついて、凝り固まった肩をほぐしていると


「中森さん。仕事終わった?」



自分のデスクから早川課長が声を掛けてきた。


「あ、はい!今終わりました!」


そう答えつつ、そういえば一緒に帰る約束をしたけど
どこで合流するんだろうか…と思ったのも束の間


「じゃあ、一緒に帰ろう。」


早川課長のその一言に、オフィス全体の空気が
張り詰めた。


そして皆んなの興味津々な視線が私に刺さる。


そりゃ無理もない。
今まであの早川課長が誰かと一緒に帰るなんて
一度たりともなかったのだから。



当の本人である早川課長は気にする風もなく、
いつも通り帰り支度を始めている。



私も皆んなの視線から一秒でも早く逃れるように、
急いで荷物をまとめ、


「お疲れ様です。」


一目散にオフィスを出た。

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