推しは恋のキューピッド
「スタイリスト…すごいですね。それじゃあぜひお願いします。」

私はぺこっとお辞儀をした。それをみた店員さんは照れたように笑い、試着室に案内してくれた。


そして早速試着してみると…
どれも自分じゃ買わない系統の洋服ばかりだが、合わせて着てみるとすごくしっくりくる物ばかりだ。
さすがスタイリスト目指している方だな…


「着れました!」

最後の1着をきて、試着室の扉を開ける。
私の姿をみた店員さんは、思わず目を見開く。


「…お客様!めちゃくちゃ似合います!やっぱり華奢でお綺麗な雰囲気もあるから、ピッタリ目オフショルがめちゃくちゃ似合いすぎてて…」


そのコメントを聞いて、私は鏡を振り返る。
オフショルに少しボリュームのあるロングスカート


鏡の中に映る自分は初めて見る姿だが、自分でも我ながら上品綺麗めで、今まで無難を優先して選んできた洋服のどれよりも似合ってる気がする。


「…あの!私これ一式買っていきます!」


私の言葉に店員さんはニコッと笑った。
…話していて誰かに似ていると思っていたが、川崎さんに似ているんだ。この人の心の中にスッと入ってくる感じ。こういうお店でのやりとりが苦手なはずなのに、いつしか楽しんで試着ができていた。


レジで準備をしてくれている店員さんに私はお礼を言う。
「親切にこんなに色々選んでくれてありがとうございました。お陰で素敵な洋服が買えました!」


すると店員さんはニコッと笑った。


「こちらこそお客様みたいな美人さんの全身コーディネートを考えられて、すごくいい経験になりました!もしまた何かありましたらぜひうちに来てくださいね!」


買った一式を受け取り、私は帰路につく。


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