推しは恋のキューピッド
その後も順調に業務をすすめ、昼休みになった。
私はいつもお昼は手作りのお弁当を持ってきて、1人で屋上ランチをするのが日課だ。
今日もいつも通りカバンからお弁当を取り出す。
お弁当箱もランチバッグももちろん『こたろう』だ。
半日ぶりに目を合わせたこたろうに癒されつつ、いそいそ席を立つ。
廊下に出てエレベーターのボタンを押すと、後ろから名前を呼ばれ、ついドキッとする。
「中森さん」
低い綺麗な声に振り返ると、やはりそこには早川課長が立っていた。
「どうされました?」
「昼休みに申し訳ない。実は今先方から連絡があって急遽確認しないといけないことが…」
話を聞くとしっかり業務に関してのことで、いつもの無表情も健在だ。
さっき川崎さんが余計なこと言うから、なんか意識しちゃったじゃん。
私は一瞬ドキドキしたことも忘れて、早川課長の質問にしっかりと答える。
「なるほど。そういうことか。ありがとう。」