推しは恋のキューピッド
「なにそれ…反則すぎでしょ。
そんなん言われたら堪らなくなるよ。
……でも確かにあれは効果絶大でした…。」



「……ならよかったです」



早川課長の暖かい温もりに包まれ、
私は心地よさを感じる。



「あー、これ以上いるとほんと離れがたくなるから、
そろそろ帰るな。ちゃんと戸締りするんだぞ。」



私から離れ、ポンッと頭を撫でながら早川課長は
そう言う。
寂しい気もするが、これからは遠慮することなく、
いつでも会うことができる。



「はい。早川課長も帰り道気をつけてくださいね。
送ってくださってありがとうございました。」



私はぺこっと会釈して、扉を閉めた。


私は部屋に入るとすぐ窓を開け、早川課長が駅に向かって歩く姿を見つめる。



すると早川課長も立ち止まってこちらを振り返る。



まさか振り返るとは思っていなかったので、
見ていたのがバレて少し恥ずかしい。

そんな私に気づき、早川課長が小さく手を振る。



私も手を振りかえすと、嬉しそうに笑って帰っていく。



「……好きだな」



改めて私はそう思った。




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