大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】
次の日、朝食後ティアラにお茶を誘われた。
ちなみに、朝起きた時にはしっかりエイナにお小言をいただいている。

「たまには私の部屋に来ない?」

そう言われ、快くお邪魔することにしたミト。
ティアラはミトのお気に入りであるガーディナー王国の有名菓子のチョコレートと、いつもの最高に美味しいお茶を用意してくれていた。

「ありがとうティアラ。何度飲んでも食べても最高!」

大喜びのミト。

「ねえ、ミト、昨晩どこへ行っていたの?」

しかし、その質問に飲んでいたお茶を噴出しそうになってしまった。

「え?どこへって?」

慌てて誤魔化そうとしても、もう遅い。

「あからさまに動揺してるじゃない。あなた、昨日の夕食後別邸を出たでしょう?」

「なんで知ってるの?」

セルファの王宮案内は内密なはずだ。

「他の側室やセルファの行動を知ろうとするのは、むしろ常識よ」

ティアラは当然のように答える。

「そ、そうなの?」

驚くミト。

「相変わらずよね、ミトって。そこがあなたの良いところだけど、そういうものなのよ。
流石に別邸の外までは尾行していないでしょうけど、アメリアもユフィーリオも、あなたが昨晩外へ出たことを知っていると思うわ」

「そ、そう…」

全員が知っていると聞いて、ミトは顔をひきつらせた。
周囲にバレないための配慮も全く無駄だったということか。
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