大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】
「よほど疲れているのかな」
ギシっとベッドを揺らして、セルファが近づいてくる。
「でも私は、一緒の時間を過ごしたいと思っています」
そう言って、手を伸ばしてきた。
悪意は感じない。
だけど、誰だかわからない、この得体の知れない人物に恐怖を覚えた。
「イヤ!近寄らないで!」
ベッドから飛び降りるミト。
どうしてだろう。見た目も物腰もセルファそのものなのに、別人だという確信があった。
部屋を出ればエイナとマリアがいるはずだ。
もしかしたら、セルファの護衛もいるかもしれない。
助けを求めるべきだろうか。
わけのわからない状況に混乱し、ミトは考えがまとまらない。
「ミト?」
ベッドの上で、セルファが不思議そうにミトを見つめていた。
目の前にいる男はセルファじゃない。
なぜ?どうすればいい?
半ばパニックのミトは、ベッドから降りて近づいてくる男に恐怖し、逃げ出す決意をした。
しかし、少し決断が遅かった。ぐっと腕を掴まれる。
「イヤ!恐い!」
大声を上げた。
「チッ」
セルファは思わず舌打ちをして、ミトをベッドに放り投げるように戻すと、暴れるミトの両手首を片手で押さえつけ、片手で口を塞いだ。
とりあえず、騒がれるのは困る。
(恐い!恐い!恐い!)
恐怖でいっぱいのミトはもがいて何とか逃げ出そうとするが、強い力で押さえつけられ全く抵抗できない。
「落ち着いて。ミト」
穏やかで優しい声は紛れもなくセルファのものなのに。
でも、違う。
ミトはセルファを睨みつけた。
目で「あなたは誰なの?」と問いかける。
セルファは大きなため息をついた。
「なんでオレがセルファじゃないと思う?根拠はなんだ?」
男の口調が変わった。
しかし、声はやっぱりセルファのものだ。
ギシっとベッドを揺らして、セルファが近づいてくる。
「でも私は、一緒の時間を過ごしたいと思っています」
そう言って、手を伸ばしてきた。
悪意は感じない。
だけど、誰だかわからない、この得体の知れない人物に恐怖を覚えた。
「イヤ!近寄らないで!」
ベッドから飛び降りるミト。
どうしてだろう。見た目も物腰もセルファそのものなのに、別人だという確信があった。
部屋を出ればエイナとマリアがいるはずだ。
もしかしたら、セルファの護衛もいるかもしれない。
助けを求めるべきだろうか。
わけのわからない状況に混乱し、ミトは考えがまとまらない。
「ミト?」
ベッドの上で、セルファが不思議そうにミトを見つめていた。
目の前にいる男はセルファじゃない。
なぜ?どうすればいい?
半ばパニックのミトは、ベッドから降りて近づいてくる男に恐怖し、逃げ出す決意をした。
しかし、少し決断が遅かった。ぐっと腕を掴まれる。
「イヤ!恐い!」
大声を上げた。
「チッ」
セルファは思わず舌打ちをして、ミトをベッドに放り投げるように戻すと、暴れるミトの両手首を片手で押さえつけ、片手で口を塞いだ。
とりあえず、騒がれるのは困る。
(恐い!恐い!恐い!)
恐怖でいっぱいのミトはもがいて何とか逃げ出そうとするが、強い力で押さえつけられ全く抵抗できない。
「落ち着いて。ミト」
穏やかで優しい声は紛れもなくセルファのものなのに。
でも、違う。
ミトはセルファを睨みつけた。
目で「あなたは誰なの?」と問いかける。
セルファは大きなため息をついた。
「なんでオレがセルファじゃないと思う?根拠はなんだ?」
男の口調が変わった。
しかし、声はやっぱりセルファのものだ。