大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】
第5話 新婚初夜2・もうひとりの王子
薄暗い部屋。
成り行き上ミトはベッドの上に座っている。
ほんの少しだけ離れた位置で膝を立てているのは、自分の旦那様であるセルファにそっくりの男。
男は今までの軽口がウソのように、急に険しい表情を浮かべて答えた。
「オレはセルファの影だ」
「かげ?」
「影武者ってやつだよ」
「はぁ…」
もっと長々とした説明があるのかと思いきや一言で終わってしまい、ミトは拍子抜けする。
影武者の意味はわかっているが、イマイチよくわからない。
だから質問することにした。
「影武者って、要は身代わりでしょう?危険な場所へ出向く時に、主に似せて惑わせるとか、身代わりになるとか、そういうものよね?」
「まあ、そうだな」
頷くセルファ。
「新しい妃の部屋に来るのに、何か危険があるの?
それに、あまりにもそっくり過ぎない?そういう技術がローザンにあるの?」
自分が持つ影武者の知識と、目の前にいるセルファの影は、あまりにも掛け離れている。疑問が次々と沸いてくるミト。
「新しい妃との初夜に危険なんかあるはずがない。ローザンに人と顔を瓜二つにする技術もない」
影は投げやりに答えた。
「じゃあ、どうしてそんなに似てるの?」
会話をする内に恐怖心はなくなり、ミトの心には代わりに好奇心が芽生えた。
「セルファとオレがそっくりなのは必然だ」
なぜか自虐的に影は笑う。
「DNAが同じなんだからな」
「え?」
意味を測りかねるミトに、影は言葉を重ねる。
「セルファとオレは、双子の兄弟なんだよ。しかも一卵性の、ね」
絶句するミト。
影は無表情だ。
暫くの間沈黙が続いた。
成り行き上ミトはベッドの上に座っている。
ほんの少しだけ離れた位置で膝を立てているのは、自分の旦那様であるセルファにそっくりの男。
男は今までの軽口がウソのように、急に険しい表情を浮かべて答えた。
「オレはセルファの影だ」
「かげ?」
「影武者ってやつだよ」
「はぁ…」
もっと長々とした説明があるのかと思いきや一言で終わってしまい、ミトは拍子抜けする。
影武者の意味はわかっているが、イマイチよくわからない。
だから質問することにした。
「影武者って、要は身代わりでしょう?危険な場所へ出向く時に、主に似せて惑わせるとか、身代わりになるとか、そういうものよね?」
「まあ、そうだな」
頷くセルファ。
「新しい妃の部屋に来るのに、何か危険があるの?
それに、あまりにもそっくり過ぎない?そういう技術がローザンにあるの?」
自分が持つ影武者の知識と、目の前にいるセルファの影は、あまりにも掛け離れている。疑問が次々と沸いてくるミト。
「新しい妃との初夜に危険なんかあるはずがない。ローザンに人と顔を瓜二つにする技術もない」
影は投げやりに答えた。
「じゃあ、どうしてそんなに似てるの?」
会話をする内に恐怖心はなくなり、ミトの心には代わりに好奇心が芽生えた。
「セルファとオレがそっくりなのは必然だ」
なぜか自虐的に影は笑う。
「DNAが同じなんだからな」
「え?」
意味を測りかねるミトに、影は言葉を重ねる。
「セルファとオレは、双子の兄弟なんだよ。しかも一卵性の、ね」
絶句するミト。
影は無表情だ。
暫くの間沈黙が続いた。