悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜




「素晴らしい才能でしょう」

「ああ、そうだな。ロイが宮殿の踊り子に推薦していることも頷ける。どうだろう?ステラ、我が宮殿の専属踊り子にならないか?」



ロイと陛下の期待に満ちたルビーの瞳が私の方へ向けられる。



「…大変有り難いお言葉なのですが私には分不相応でございます」



私はそんな2人にそう言って遠慮がちに笑った。

本当にやめてください。
私は踊り子ではありません。本当はここから一分一秒でも早く逃げたいんです。
目標は国外逃走なんです。



「しかしこんなにも才能溢れる踊り子の子どもは私でさえも始めて見たぞ。やはり我が宮殿の専属に欲しいなぁ。なぁ、ロイよ」

「ええ。僕もそう思います。ステラが我が宮殿の専属になった暁には週に数回、舞の披露宴を行うのはいかがでしょう」

「それは名案だな」



確かにお断りをしたはずなのだが、そんな私なんてお構いなしに陛下とロイが楽しそうに今後の計画の話を始める。
そして2人の皇子たちと皇后も口々にいろいろな感想を言い始めた。




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