悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜





「離してくれないか」



ロイは笑顔一つ浮かべずに自身の腕にまとわりついていたリタを鬱陶しそうに払ったのだ。



「え?ロ、ロイ様?」

「君には失望したよ」



さらにロイは状況をあまり飲み込めていない様子のリタに冷たくそう吐き捨てて何と私の元へ来てしまった。



「…大丈夫かい?ステラ」

「え、あ、はい。紅茶は冷めていたので」

「…そう。でも酷い目に遭ったね。怖かっただろう」



服が汚れることもいとわずにロイが優しく自身の服の袖で私を拭いてくれる。
私もリタと同じようにこの状況をうまく飲み込めず、目を丸くしていた。

この状況でリタではなく私を選ぶの?
契約は大丈夫なの?



「これはどういう状況ですか」



私を心配そうに見つめ、私を拭き続けるロイの後ろにまた誰かが現れる。




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