悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜
「ご説明していただけますか、ロイ殿下」
ロイの後ろに現れたのはユリウスだった。
ユリウスはいつも以上に冷たい表情をしており、その切れ長の金色の瞳には静かな怒りの炎が見える。
いつもと変わらない無表情にも見えるが、周りを圧倒するほどの雰囲気が今のユリウスにはあった。
「ステラの宮殿滞在最終日だからと迎えに来てみれば何ですか、この状況は」
冷たい表情のままゆっくりとユリウスがこちらに近づく。
そして私の元まで来ると、自身の上着を私にかけ、私の膝の裏に手を入れ、そのまま私を抱き抱えた。
「ユ、ユリウス!?」
突然のお姫様抱っこに思わず大きな声を出してしまう。
「こんなことになるのならやはり無理矢理にでも陛下からの招待を受けさせるべきではなかった」
ぐっと私を抱く腕にユリウスが力を込める。
もう離さないと言わんばかりに。