悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜





「このことについては後日フランドルから改めて抗議いたします。では」



ユリウスはそれだけ言うとくるりとロイたちに背を向け、その場からさっさと離れようとした。



「待て」



しかしそれはロイの冷静な声によって止められた。



「…何でしょうか」



ユリウスが煩わしそうに一度足を止め、ロイの方へ視線を向ける。



「ステラをそのまま返す訳にはいかないよ。ステラはこちらの客人だ。まずは服を着替えよう。それから…」

「結構です。着替えは公爵邸の馬車でもできます」

「でもステラは年頃の女の子だよ?そんなところで着替えさせられないだろう?」

「こんなステラに危害を加えるような宮殿で着替えさせることなどできません」

「…はぁ、君は頑固だね」

「殿下もしつこいですね」



ユリウスが冷たく、ロイがにこやかにお互いを睨んでいる。一触即発だ。
言葉こそお互いに攻撃的ではないが、少しでも何かを間違えればもっと酷い展開になりそうだ。

…私がぬるい紅茶を頭からかけられたことが原因でミラディアVSフランドルになりそうになるとか勘弁してくれ。




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