悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜





「そんなに早く帰ろうとしなくてもよろしいでしょう?せっかくお会いできたのに」



クスクスと笑いながらそう言って娘がゆっくりとこちらに近づく気配がする。

気味が悪い。

どこか普通ではない娘に俺はそう感じた。



「失礼する」



娘の制止など無視して俺はさっさとドアノブを回す。
…が、その手に力が入らない。



「…」



この感覚は…。

既視感のある感覚にすぐに後ろを振り向けば、蓋の開いた小瓶を持って微笑む娘の姿が目に入った。
蓋の開いた小瓶からはもくもくと薄い黄色の煙が上がっている。
あの小瓶の中身はおそらく相手から自由や意識を奪う類の魔法薬だろう。




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