悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜




「それは奇妙ですな。魔法薬の類でも使われましたかね?」

「ああ。私もそう思っている。…ハリー卿、忙しい時にすまなかったな」

「いえ、俺も協力できることがあれば何か…」



このままでは会話が終わってしまう。
おそらく怪しいクラーク邸にさえ行けれない。
そう思った私は慌てて公爵たちが話をしている部屋の扉を開けた。



「失礼します!」

「ステラ?」



勢いよく扉を開けて入ってきた私を公爵が目を丸くして見る。
ユリウスと同じ冷たい無表情が珍しく崩れている。私の登場は予想外だったのだろう。

今すぐに怪しいのはアリスです、と言いたかったが、何の脈略もなく、そんなことを言っても、ただ不審がられると思ったので、私は他の方法でクラーク邸を探れる方法を考えた。
そしてほんの数秒考えた後、私は口を開いた。




< 127 / 313 >

この作品をシェア

pagetop