悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜




「…クラーク邸へ同行したメアリーが言っておりました。何故かクラーク邸の者からユリウスはクラーク邸に残るから先に帰るようにと言われた、と」



真剣な表情で私は公爵とハリーに訴えかける。
もちろん真っ赤な嘘である。
だが、今はクラーク邸を探れる口実が作れればいいのだ。嘘をついたことは後でいくらでも謝ろう。



「…ふむ。それは確かか、ステラ」

「はい。間違いありません」



ごめんなさい。大嘘です。

こちらを真剣に見つめ、真偽を確かめる公爵に私は真剣に頷き、心の中ですぐに謝罪をした。



「ならば何かユリウスを見つける手がかりに繋がるかもしれない。どうだろう?ハリー卿」

「はい。それならば喜んで協力いたしましょう。今すぐに我が家を調べるべきです。一刻も早くユリウスを見つける為に」

「協力に感謝する」



私の話を聞いて公爵がハリーの方を見れば、ハリーはそんな公爵に力強く頷いた。

よかった!これでクラーク邸を探ることができる。

きっと公爵の言う通り、ユリウスを見つける手がかりはクラーク邸にあるはずだ。
そしてユリウスの行方不明にはおそらくアリスが関係してる。

こうして私の大嘘証言もあり、クラーク邸の捜索がハリー協力の元、決まったのであった。






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