悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜





「到着いたしました。どうぞ」



使用人が外から馬車の扉を開け、公爵、私の順で馬車から降りる。
馬車から降りると、目の前には先ほど遠くから見たクラーク邸があり、さらにその前には数十名のフランドルの騎士たちが公爵の指示を待つように立っていた。



「全員揃っているな」



公爵がそんな騎士たちの様子を確認するように全体に視線を向ける。



「それではこれよりクラーク邸内の捜索を開始する。少しでもユリウスへ繋がる情報を探し出すんだ」

「「はっ」」




そして公爵の合図により、ここへ来た騎士たちが散り散りにクラーク邸内へと入っていった。



「それでは我々も参りますか」

「ああ。よろしく頼む、ハリー卿」

「お任せください」



騎士たちが移動した後、ハリーと公爵も難しい顔でクラーク邸内へと入っていく。



「ステラ様、我々も参りましょう」

「うん」



私もジャンに声をかけられて、クラーク邸内へと足を進めた。

…さてこれからどうしようかな。

一緒に歩くジャンをチラリと見て、私は1人思案する。

正直1人で行動した方がいろいろと都合がいい。
ジャンが側にいることによって私はきっと自由に動けないだろう。
そうなれば、全くユリウスを探す力になれない。何の為に無理を言ってついて来たのかわからない状態になってしまう。




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