悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜





*****




しばらくメイドのフリをして歩きながら、使用人たちの話に耳を傾けていると、早速ある現場に遭遇した。



「これとこれとあとこれくらいでいいかな?」

「服は白を持ってくるように言われていたわよ」



とある部屋で2人のメイドが何かを確認し合っているところを見つけたのだ。
私は彼女たちにバレないように扉の外からそっと中の様子を確認していた。

机の上に置かれている大きなカゴにはフルーツやパンがぎっしりと詰められている。
さらにもう一つのカゴには今、まさにメイドたちが男性ものの服を丁寧に入れているところだった。



「あ、このピアスも欲しいって言っていたわ」

「金のピアスよね。これ、すごく高価なものよ?アリス様、最近何故か急に男性用の生活必需品を求められるようになったし、ご飯もアリス様が食べるにしては多すぎる量をご希望されるし、もしかしてアリス様、男の人でもこっそり匿っているのかしら」

「そうなんじゃない?アリス様、欲しいものは何でも自分の手の内に入れておきたいタイプだし。とんでもないイケメンを囲っていたりして!」

「あれかしら。街で倒れていた訳ありのイケメンを助けて、彼を守る為にこっそり匿っているの」

「きゃー!そこから2人のラブロマンスが始まるのね!」



噂話を楽しむように話続けるメイドたちの言葉に心の中がざわつき出す。

アリスが男性用の生活必需品を求めており、誰かを匿っている気配がする、とメイドたちは言っていた。
その匿っている男がもしかしたらユリウスなのではないかと思ってしまう。
もしそうなのだとしたらユリウスは今、アリスに監禁されているということになる。




< 133 / 313 >

この作品をシェア

pagetop